2009年01月11日

ストラディヴァリのF字穴の設計

昨年、某所を訪問した時、ストラディヴァリのF字穴の設計に関するStrad Magazineの過去記事がネットで見られると聞いた。

Alvin Thomas King氏の
「How Stradivari Positioned the F Holes」
だ。

この資料、著作権の問題から、内容を詳しく書くことはできないが、ストラディヴァリのヴァイオリンやチェロは、板を固定するピンの間隔を基準として、黄金分割比で決るいくつかのパラメータを元にF字穴の位置を決めていたということらしい。

アマティやグァルネリも黄金分割で位置を決めていたが、彼らの方法(アマティ流)とストラディヴァリの方法は1690年代から微妙に変ったということだ。おそらく、この頃、ストラディヴァリが新しい方式での設計を開始したのだろうと記事は書いている。

この法則を既存のストラディヴァリのバイオリンたちの計測データを比べるとほとんどピッタリ一致する。

しかし、資料の最後にも書いているが、なぜ、ストラディヴァリはピンを基準にF字穴を決めたのだろう?

ピンの位置も、おそらく決った手順の中で割り出しているのだと思うが…

ところで、現在のイタリア流は個性を出すために、あえて再現性に目を瞑っている気がするが、ストラディヴァリの仕事の仕方を調べていくと、彼が非常に工学的な再現性を重視した手順を求めているような気がする。

再現性は同じものを作るためだけではなく、改良のためのデータとしても必要なのだ。もちろん、これでOKという設計ができたら、その再現性が重要なことは言うまでもないが。

彼は1700年代になってから、同じ楓の丸太から取った裏板をずっと使っていたという情報もどこかで読んだが、その時期が黄金期であるというのは、同一の材料を使い再現性に優れた手法を用いて改良した結果であるかも?

そういえば、グァルネリファミリーも表板に同一のスプルースを使い続けたという記事を読んだことがある。記事によると、彼らのヴァイオリンは、ある場所に暗い模様がついているのが特徴ということだった。(もっとも、自分が持っている資料にはその暗い模様はよく分らなかったが…

材と手法、どちらも大切である。特性の揃った材を継続的に入手できたのが、ストラディヴァリの1700年以降の黄金期であるし、グァルネリファミリーであったとすると、彼らの秘密の一つが見えるような気がする(かも)?
posted by い〜ぐる at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | バイオリン製作資料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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