2009年09月23日

クレモナのクラシックバイオリンとモダンバイオリンの木材密度の違い

StoelとBormanの論文のアブストラクトだけ翻訳してみました。
この論文は、クレエーティブコモンズというオープンドキュメントのライセンスで公開されています。
書誌情報は下記。

Stoel BC, Borman TM, 2008 A Comparison of Wood Density between Classical Cremonese and Modern Violins. PLoS ONE 3(7): e2554. doi:10.1371/journal.pone.0002554

ストラディバリやグァルネリなどクレモナの巨匠たちが制作したクラシックバイオリンは、音の表現力や到達力の指標(ベンチマーク)となっています。彼ら以降、どんな製作者も彼らのクラシックな楽器たちと並ぶ音質を作り出せていないと言われています。

バイオリンの振動と音の放射特性は、楽器の形状と木材の特性によって決まります。新しい測定方法によって、木材特性の鍵となる木目一本にいたる詳細な密度の非破壊的な検査が可能となりました。本論文では、5本のクラシックバイオリンと8本のモダンバイオリンの密度を、コンピュータトモグラフィと特別に開発された画像処理ソフトウェアを使って比較しました。

モダンバイオリンとアンティークバイオリンの平均密度には大きな違いは見られませんが、クレモナのクラシックバイオリンでは、表板のスプルース、裏板のメープルともに、モダンバイオリンと比較すると、夏目と冬目の密度差が非常に小さいことが分かりました。(それぞれ p = 0.0028 と 0.008)モダンバイオリンとクラシックバイオリンの表板の密度差(SE)は、それぞれ 274(26.6)と183(11.7) g/Lで、 裏板の値は、128(2.6)と115(2.0) g/Lでした。

これらの密度差は、剛性分布の違いになるので、この特性は、振動効率に直接的な影響を与えます。また、間接的にはダンピング特性の違いに寄って音の放射特性を変化させると思われます。

これらのメカニズムがクラシックバイオリンとモダンバイオリンの音響の違いの理由となっている可能性があります。
posted by い〜ぐる at 07:00| Comment(10) | TrackBack(0) | バイオリン製作資料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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